特集3

教えてトレイシーさん

ツリーを使い捨てないクリスマス 

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イギリスのエコクリスマス事情。

トレイシーさんはイギリスの大学に通い環境政策を学び、ロンドンの区役所で長年環境関係のプロジェクトを進める仕事をされていました。
帰国してまだ1年の彼女に、現地のクリスマスのお話を聞きました♪

Q.ロンドンの区役所ではどんなお仕事をされていたのですか?

環境に係ることなら何でもしてました。
役所自体が使うエネルギーなどによる温暖化効果ガスの排出量を計測したり、都市計画などの政策に環境の視点から関わったり。もちろん定期的に同僚や住民の方などに「エコアドバイス」を発信したりもしてました。

イースターとかクリスマスという行事の時は特にそれに合わせたアドバイスをしてました。あちらでは「エコ」と言うよりも「グリーン」という呼び方が一般的で、「エコ・クリスマス」というよりも「グリーン・クリスマス」という風にいいます。オフィスでは「さて、どうやってグリーン・クリスマスを過ごすかなぁ」という話をよくしてたんですよ。

Q.イギリスのクリスマスはどんな感じですか?

向こうの「クリスマス」は、日本の「お正月」と同じ感覚です(笑)。
いわば門松の代わりにクリスマスツリーなんですよ。だからこそ、「ツリーは本物の木がいい」という人が圧倒的に多くて、スーパーでもどこでも本物の生クリスマスツリーがたくさん並んでいて、それを皆が買って家に飾るんです。「金欠だぁ」と嘆いている大学生でも、やっぱり本物のツリーを買ってきちゃうんですよ (笑)。

生の木のツリーは小さいもので日本円にして2、3千円。大きなものなら1万円、2万円もするんですが、やはり本物の木は香りが素敵だから「うちは絶対に生の木じゃないとダメ!」という人が結構いるんですよね。

生の木のツリーは2,3週間とか部屋に飾って、枯れてきたらそのまま捨てられる。それって本当にもったいないですよね。毎年クリスマスが終わる時期には、大量のツリーが廃棄されていて、これは何とかしなきゃということで、どこの自治体でもエコな提案を発信しています。

Q.エコ・クリスマスとはどんな提案?

たとえば伐採したクリスマスツリーじゃなくて「バケツに植えてある木」を使いませんか?という提案。土に植えられた木なら、クリスマスツリーとして使ったあと、そのままバケツで育てることもできるし、庭に植え替えて育ててもいい。庭に植えたら翌年からは庭のクリスマスツリーが楽しめます。あるいは生の木じゃなくて、プラスチックのツリーを長年つかったり、あるいは部屋の壁にクリスマスツリー型の装飾をしてツリーがなくても楽しめるアイデアを考えるとか、結構色々やっています。

それから、「クリスマスの飾り付けをエコにする」ことも。クリスマスには、ツリーの飾りも、フェアトレードでリサイクル製品で作ったものを使うとか、飾りはクッキーみたいに食べられるもので作ったり、古雑誌などの紙で使ったりと、できるだけ廃材やプラスチックのごみが出ないようにしようという動きがあります。

あと大事なのは、クリスマスにどうやって家に帰省するかなんですね。向こうはクリスマスには公共交通が完全に止まって身動きが取れなくなります。なので早めに計画を立てて電車などで帰省しましょうね、ということなんです。
そして省エネのためにもひとつの家で大勢の人間が一緒に過ごしましょう、ということも。基本的にむこうのクリスマスは日本のお正月と同じ。みんなクリスマスは家でにぎやかに過ごして、ゲームをしたりしながら夜更かしして、おなか一杯になったら寝ています(笑)。

Q.本来は、家族で団らんするのがクリスマスなんですね。

そうなんです。
家族で集まるのが第一の目的で、プレゼントとかは二の次なんですよね。だから、そこがエコに貢献できる部分かなと思うんです。

たとえば身内へのプレゼントは簡易包装でいいし、プレゼント自体がエコなものであったりしてもいい。新製品でなくても、子供が手作りした何かというのもうれしいですよね。

向こうは職場でもクリスマスプレゼント交換をよくします。私がいた区役所ではクリスマスの何週間か前にプレゼントボックスを用意して、皆それぞれ持ち寄ったプレゼントを入れるんです。金額は前もって決めて1000円ぐらいとかにする年もあれば、家にある新品の何かにする年もあります。それで大きな箱を取り囲んでクリスマスパーティーをします。じゃんけんとかくじ引きでプレゼントを配るんですよ。チャリティー団体で働いたときは、プレゼントを買うよりそのお金をいろいろなところに少しずつ寄付して、それがみんなからみんなへのプレゼントってことで「良かったねー」っていうこともありました。そんなふうに、いろいろな形があるかと思うんですよね」

Q.なるほど、いろんな考え方でエコクリスマスができるんですね。

ところで、海外ドラマや映画で、クリスマスといえば七面鳥料理が出てきますけど、あんな大きいのをみなさん家で焼くんですか?

そうなんですよ、どこの家にも七面鳥が入るオーブンがあるんです。
家を建てるときには「七面鳥が入るオーブンが欲しい♪」と言う(笑)。
アパートなんかについているオーブンにはどうしても七面鳥が入らなかったりするんですが、持ち家でオーブンが買える人たちは、「やっぱり七面鳥ぐらいは丸焼きしたい」という感じのようですね。私から見ると、なんだかちょっとやりすぎな感じがします(笑)。あれ結構食べきれないんですよ。(笑)


 ★トレイシーさん、楽しいお話をありがとうございました。