本来の石けんは、使ったあと24時間で水と二酸化炭素に分解されると聞きましたが、石けんは環境にやさしいのでしょうか。
「そうですね。排水は台所から下水を通して川に流れ、海に流れて行きますよね。石けんは、海に着くぐらいにはもう完全に分解されています。でも、合成洗剤はそうはいきません。それぞれ意見があると思うのですが、ある先生は「合成洗剤が分解されるのはたった3%、分解しないで残っていくのがほとんどだよ」と言われたんですね。「この日本で1日どれぐらいの合成洗剤が使われるかというと、3トントラックで何十杯分と答えるしかない」と。
石けんなら24時間で分解されるといいますが、これは自分では確かめようがないから、そう信じ続けるしかありません(笑)。だけど、そういう事実をたった1人の人でもいいから理解してくれる人がいれば、いつか次々と賛成してくれる人につながってくれると思っているんですよ」(古味さん)
エコの話を、必ずしも全員が理解してくれるわけではないという古味さん。 わかってもらおうと思うのでは無理があると身をもって知っています。
「環境問題の話はね、理解して下さらない人に言っても迷惑顔をされてしまうんです。「このおばさん、まためんどくさいことを言いよるなぁ」って困らせてしまうでしょう(笑)。だから、あんまりしつこくは言いません。本当に関心のある方は向こうから尋ねてきてくださるから、私はそれに精一杯応えるという形でしか、いまのところ対応できていないんですね。これだけはどうしようもないことですね。ただ、私たちは自然界にないものを化学的に作り出して生活している、その事実からは決して目を背けてはいけないと思っています」(古味さん)
古味さんは土曜市(池公園 オーガニックマーケット)でも出店されています。
「オーガニックマーケットは、毎週特定の方が必ず来られていますね。その方たちにとって土曜市はもう自然な生活の一部になっています。お野菜や食材を探すのにね、ごく普通にみなさんがスーパーに行くのと同じ感覚で、オーガニックのものを買い物される方が最近随分増えましたよ。
そういう光景を見ていると、これからは特別にこちらが旗を振らなくても、気がついた人から自然に最適の選択ができるようになるんじゃないかと希望が湧くんです。同じ野菜でも手間をかけて、オーガニックで育てた地場産のものを食べようという人が今からはだんだん増えてくると思うんです。
作物の作り手もね、大きくて器量が良くてという部分ばかりじゃなく、何を思ってそういうものに育ったかという部分に気づいている人が増えてくれるだろうなと思うけれど今はね、それに気がついていても行動が伴わない時期かもしれません。
経済的にもつらくて厳しい時期ですから。でも、確かに中にはぼつぼつと気がついている人がいると思うんです。だから、提供する人が増えてそこに集まる人が増えてくれば、だんだん世界が広がっていくと思っています。
これは1年、2年という単位ではなくて、10年、20年という時間がかかることだと思うんです。私が生きている間にはそういう世界は見られないと思うけど、何十年も経てば気がつく人もきっと出てくるはず。
これは私の短絡のしすぎかもしれませんが、アトピーや痴呆症というのはね、昔はね、確かにあったかもしれませんけれど、今のように歳をとったら皆がなるというようなものではなかったと思うんですよ。
その原因は何だろう考えると、やはり食とかそういうものから来ていると思うんです。何十年も前から「この食は危ないですよ」と警鐘を鳴らしていた科学者はいましたし、今もいます。でも、自分の身に降りかからない限り人は自覚しないんです。現実のものとして受け止められないんですよね。自分がアトピーになって初めて「あら? 私どうしちゃったのかしら?」と気がつくものです。私自身がそうでしたよ。何を使ったって手が荒れるなんてことはなかったけれど、結局、自分自身の変化に気がつくのが遅かったんです。でも、周りを見回すと、今のみなさんはほとんどの方がなんらかのトラブルを抱えていますものね。食生活をうんと見直してみることはとても大切だと思います。
赤ちゃんや子供は皮膚が弱いですから、お母さんがそれに気がついて「石けんを買いに来ました」とわざわざ来られる方も増えてきました。