特集10

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岡林みやさんは、昨年エコビバ編集委員会で意見交換会に協力して下さったメンバーさん。いつも笑顔を欠かさず、ユーモアいっぱいのお話で場を和ませてくださいました。今回の特集は、岡林みやさんからの寄稿をご紹介いたします。

「オール電化にして感じたメリット・デメリット」 

オール電化住宅までのいきさつ

実家をオール電化住宅に建て直してから、はや4年目を迎えました。
現在母、私(会社員)、共働き弟夫婦、姪(小学1年)、甥(2歳)6人家族。
建て替え後に甥っこが誕生し、ドタバタの2.5世帯同居です。

建て替え前の実家には母が一人で住んでいましたが、高齢となり健康面の心配があることから、同居の話が持ち上がりました。しかし築30年を超える実家での同居は難しいところから、思い切って建て直しました。

建て替え前の実家のエネルギーは電気とガス、給湯やストーブは灯油を使用していました。昭和50年頃は灯油の値段も安く、両親が「お得なエネルギー」という判断で給湯器などに灯油を採用したようですが、当時から比べると灯油代もどんどん高騰しています。

そのようなことも加味したうえ、火を使わず安全性も高い事や、灯油を購入する手間が省けるという事から、建て替えに際してのエネルギーの選択は「オール電化」となりました。ブームに乗っかったというのもあったと思います。

実際、オール電化住宅に暮らしてみて感じたこと

エコビバ編集委員会特集10_メリット
メリット


・光熱費が一元化し管理しやすい



 世帯ごとにメーターは分けていない為、電気代と水道代の明細は一通ずつ届きます。それを見ながら家族で一喜一憂しています。
 しかし、この明細にはどちらの世帯がどのくらい使っているか詳細は分からず消費量に関しての管理は難しいのです。こういったところは“エコにしての関しての参画意識が薄れてしまう要因”になるかもしれません。2世帯住宅などはメーターを分けたほうが省エネ意欲は高くなるのかもしれません。

・火を使わないという安心感


 小さな子供がいるとこれで得る安心感は大きいです。

・IHクッキングヒーターは手入れが簡単。


 ガスコンロの黒いスス汚れがつくこともなく、平面で掃除が楽になりました。

・電気のため空気が汚れない


 灯油ストーブを使わない為室内の壁などが汚れません。
あと、灯油給湯器を使用していた時は、お湯が沸く際「ゴーゴーッ」と低い音がしてお隣に迷惑がかかるのではと控えたりしていましたが今は音が静か。夜遅くの入浴も気兼ねなくできます。

・深夜電力を利用してお得に電気の利用ができる


 弟夫婦の世帯は蓄熱暖房を採用し冬場は深夜の電力を蓄電した暖房をしています。

ここに挙げましたメリットについてはオール電化住宅に住まわれる皆様が一般的に思われているように思います。

逆に、デメリットについては暮らしてみて初めて分かった事などもあります。

エコビバ編集委員会特集10_デメリット
デメリット


・停電がおきると何も機能しなくなる



これは大きな弱点です。我が家は太陽光発電をまだ設置していない為、災害時など、停電が起こると何も機能しません。建て替え後の停電は経験していませんが、今の家が完成した後に東北の大きな地震がありましたので、改めて実感しました。南海トラフ地震の対策も必要な為、物質的な用意として、ガスコンロや簡易トイレ、飲み水の保存などの準備をしています。
温水器タンクに貯める水は災害時などのみ水以外であれば利用できるようになっているためこれはメリットといえます。

・火を使わないため中華鍋が使えない


 母は嫁入り後40年以上使った年季の入った中華鍋を手放しました。
 中華鍋を振りながら鳴っていたカンカン♪という音がちょっと懐かしいかも。強い火力の料理を好んでされる方には物足りないかもしれません。

・電気給湯はお湯切れの心配がある


 給湯器タンクのお湯を沸かす量を設定できるのですが、お客様が泊りに来たりして普段より多くお湯を使う際は設定を変えておかないと、お風呂場で「途中からお湯が水に変わったぁ!」という事態になります。

・電磁波の問題


 電化製品から電磁波が出ているという事は知っていたのですが、それが目に見えるわけでもない為、気にも留めていませんでした。しかし先日、母が心臓を悪くしてペースメーカーを埋め込むかどうかという検討をすることになったのですが、その際、電磁波によりペースメーカーが誤作動する可能性があり、オール電化住宅では勧められないと医師から言われ、結果投薬治療となりました。電磁波の影響を改めて考えた瞬間でした。
 以前テレビで炭が電磁波を吸収するという話を聞いたことがあったため、現在はキッチンなどに備長炭を置いています。

・火を使わない怖さ


 オール電化で火を使わない安心はあるのですが、逆に火を見ない怖さのようなものも感じます。日常生活で、家の中で見る火というと母の部屋にある神棚のろうそくにつける火くらい。他は誕生日ケーキくらいです。先日2歳の甥っ子が、神棚のろうそくの火を消したいというので、近くの大人が手で払って消す動作を見せると、ろうそくの芯をじかに触って消そうとしました。
 小さな子供が火を見る機会がないと、火が熱いとか燃えるとか怖いなどという感覚が身につくのが遅くなるのかなと感じたのです。仏壇や神棚を置かないお宅やたばこを吸う方がいないお宅だと、もう身近に火はないということですね。

私は3歳くらいの頃、料理中の母の横でセロハンテープを紐のようにして持ってきてそれをコンロに近づけて燃やしてみようとやってみたことがあります。見事火が付いたので、「おっ点いた」とそのまま流しに置いて水で消そうとしたのですが指にセロハンテープがくっついて取れず、そのまま火が指に近づいてやけどしてしまった。というおバカな経験がありました。母にはこっぴどく叱られ、火が怖くなったのと痛かった事を覚えています。今の子供たちは火に関する経験をいつ頃するのかな、と考えたりもします。

・電気料金の変動に不安


 30〜40年前は灯油も安かったため利用する家庭が多かったようですが、灯油代も高騰し、電気のほうが注目されてきました。
 しかし我が家を建ててから後に東北の大きな地震があり、原発は稼働しなくなっています。そのような中で今後電気料金がどのように変動していくのか、灯油のように高騰してこないか気になるところです。


Text by mimi okabayashi