1)まずは大原さん、家のブレーカーをチェックしながら取り付け準備にかかります。「ヘムスの機器自体はコンパクトでとても軽いものです。普通のお家ならば約1時間ぐらいで作業が終わりますよ」無線を飛ばすルーターです。
2)大原さん。ヘムスを家庭に取り付ける人ってどれぐらいいらっしゃるんですか?
「結構いますよ。県下のヘムスの取り付け率でいうと、室戸の電気屋さんなんかすごく頑張ってますよね」(大原)
「ヘムスの良さってなんですか?」
「ヘムスの良さは使用電力が目で見てわかること。節約、節電意識が芽生えますし、電気屋さんとしても省エネ家電の推進に役立ちますよ」
「やはり最近の省エネ家電って性能がいいんですか?」
「そりゃぁもう、電気代がぐんと違います! 今の商品の省エネ率は昔の商品とはまったく別物だと思っていいですよ」
話をしながらも大原さんの取り付け工事は着々と進んでいきます。
3)慎重に分電盤の電気の流量を調べている大原さん。
分電盤って、いじるのがちょっと怖いですよね〜……。ってことで、ちょっと尋ねてみました。
「大原さん、作業をしていて感電したことなんてあるんですか?」
「そりゃなんぼでもありますよ!気持ちいいですよ、肩にズンッときますよ(笑)。触っちゃダメなところはありますが、家庭用ブレーカーはそうそう感電しませんから心配ありません(笑)」
4)配電盤から「見える化」するものを8つまで選べます。
エアコン、エコキュート、IHクッキングヒーター、コンセント回り、照明、ウォシュレット、テレビ。
「どこの部分の消費電力をチェックしたいかリクエストに応えられますし、現状でどこにいちばん消費電力がかかっているかもチェックしますよ。家庭で結構電気を食うのは、そうですねぇ、大画面テレビですねぇ。液晶のやつじゃなくて、プラズマテレビはとてつもなく電力使ってます。待機電力もばかになりませんよ」
なるほど、そうなんですね〜。勉強になります。
5)分電盤を見ただけではわからない電気の流れは、かけつけた社長と二人三脚で実際に家電チェックをしながら確かめます。
「5番はどう?」「うん、それレンジと炊飯器のところやね」
「はいOK、じゃぁ3番はどう?」「それは冷蔵庫やね」「はい、OK」
6)次は選んだ場所ごとにヘムスの線をつけていく作業。「心電図とりゆうみたいでしょう?(笑)」と大原さん。確かに!
7)線をすっきり箱にしまって、分電盤も元通り。次はルーターでパソコンにヘムスの信号を送ります。基本計算のための電気料金を登録。
8)そしてしばらくすると、Tさん邸の消費電力が見える化されました!
メモリーの中にデータが蓄積されていきます。家庭の電気の流れがパソコンで一目瞭然。今、どの部分でどんな電力が流れているか把握できるようになっています。
9)最後にヘムスの使い方を詳しく説明して終了。「Tさん邸では今、何もしてないのに0.7KWの電力が流れていることがわかります。浄化槽ポンプとか、24時間の換気とか、冷蔵庫とか、そういった部分に流れているんでしょう」(大原)
以上、取材のおかげでヘムスのシステムが私にもよくわかりました。
ヘムスはとてもシンプルな装置ですが、今まで見えなかった電気の流れがパソコン画面の数値で確認できるのは画期的なことです。
ヘムスを家庭に取り入れることで、省エネのモチベーションが一気にアップするかもしれません。
ヘムスは今さまざまな種類のものがあり、値段も安価なものから高価なものまでさまざまのようです。一般的な取り付け価格は平均して約10万円ほどかかります。昨年9月まではヘムスの取り付けに国の補助金がつきましたが、残念ながら昨年10月に補助制度が早々に打ち切りになりました。
それでも省エネに対する気持ちが高まり、家庭での消費電力を“視覚化”する技術は、ヘムス以外にもコンセントに取り付けて電気の流れを確認できる電気測定器、エネルギーシステムなど種類が徐々に増えていきつつあります。
今後、家庭消費電力の「見える化」がもっとリーズナブルに、そして精度を上げて進んでくれたらうれしいですね。