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第11回 こうちサステナ・カフェ

テーマ:使える公共交通で地域を元気に!

話題提供者:土居 貴之さん

 今回は、住民にとって使いやすい公共交通をテーマに、ワークショップを多く手掛けている土居貴之さんをお招きし、地域住民の生活を守る公共交通の在り方について、お話しいただきました。

 土居さんは、まず、高齢化や若者の流出が地域社会に与える影響を指摘し、高齢者が安心して公共交通を利用できる環境づくりには、利用者ニーズの把握に加え、地域住民・交通事業者・行政の連携が欠かせないと述べました。
 具体的な取り組みとして、これまで行ったワークショップの実践を挙げられ、バスのデマンド運行や乗り方教室について紹介していただきました。さらに、ご自身の留学経験をもとに、ドイツ・フライブルグ市の事例と比較し、公共交通が地域活性化に果たす重要な役割について語ってくださいました。

 公共交通は高齢者や学生など、車を持たない人にとって欠かせない移動手段です。さらに、車の利用を減らすことで、環境への負荷を低減しながら、地域経済や住民同士の交流を活性化することができます。
 
 一方で、利用者の減少や高齢化への対応、運行ダイヤの見直しなど多くの課題がありますが、それらをひとつ一つ解決することで、公共交通とともにある持続可能な地域づくりに貢献する取り組みを続けています。
 
 また、まちづくり計画や福祉政策との連携も重要で、高齢者向け福祉サービスと結びつけることで、より効果的な公共交通の活性化が期待できます。比較的公共交通が充実している高知市では、75歳をピークに運転免許の返納が進んでいますが、特に中山間地域では移動に車が欠かせないため、地域差に応じた施策が必要です。

 最後に、公共交通への財政支援を「負担」と考えるのではなく「地域への投資」と捉えるべきと訴えられました。普段車に乗っている人ほど無関心ということですが、車の運転が出来なくなってから考えるのでは遅いということで、暮らし慣れた地域で住み続けるためにも「公共交通がある地域を残したい」という強い想いが伝わってきました。

(2025年3月22日)

第11回サステナカフェ_土居さん

プロフィール:土居 貴之(どい たかゆき)
高知県内の特に中山間地域における移動手段確保のお手伝いをメインに取り組む。少子高齢過疎化など課題の多い地域において、現地での地道な調査や住民との意見交換会で出された要望を元に、バス路線の再編や新しい移動手段の設定などを行う。
本人はまちづくり全般をやりたいのに、気付けば郡部のバスおじさんになっている。
環境の杜こうち活動会員、NPO高知市民会議元理事。高知市在住。

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